HGガンダムエアリアルの制作日誌第5回目の今回は腰部、脚部の下半身パートです。
まずは腰部分からパーツを見てみましょう。
腰部分は基部が左右のパーツを貼り合わせる構造で中央に合わせ目が出てしまいます。後ろ側のアーマー部分はフィン状の部分とその上部のビットステイヴの接続ポイントが本来はフレーム色なので塗装による塗り分けが必要になっています。
機体の設定上スカートアーマーはフロントとサイドのみでリアスカートはありません。これまでの制作日誌で制作した機体にはこのスカートアーマーの裏側にはディテールを追加してきましたが、このエアリアルのスカートアーマーは非常に面積が少ない事に加えて太腿に密着していることもあり、特にモールドの追加はせずにいこうと思います。
この腰部分は基部の合わせ目処理を中心にキットの元のモールドを深く彫りなおしてスミ入れが映える様にしていきます。
加工が済んだ画像です。モールドのシャープ化はこれまで通りですが、又関節の基部の合わせ目は消さずにモールドとして処理しました。というのもこのエアリアルの「Cランナー」、グレーの成形色のプラは軟質樹脂なのでヤスリ掛けが非常に難しいというか毛羽立ってしまうというのが理由です。
このKPSと呼ばれる樹脂は結構厄介でして、これまで使われてきたABS樹脂に比べればマシではありますが、ヤスリ掛けやタガネ等を使用したスジボリが柔らかすぎる故に上手くいきません。なのでこの合わせ目に施したモールドも両サイドのエッジを斜めに切り落とす感じでV字の彫り込みにしています。
ABSに比べてマシと言えるのは塗装が問題なく出来る点と経年劣化かと思いますが、正直経年劣化と言う事についてはまだこの先何年後にどうなっているかはまだ未知数と言ったところでしょうか。
腰部分はサクッと終わらせましたが、いよいよこのエアリアルのキットの最難関である脚部です。パーツ数もかなりあるので画像は片足分です。
まずこのエアリアルのキットを作り始めるに当たって説明書を見た段階で、ここはヤバそうだな…と瞬時に思い、それ以来どうするのかをずっと考えてきた部分です。
最難関と言う部分は太腿で、シェルユニットのクリアパーツを挟み込んで太腿後ろ側に露出するフレーム部分には黄色いフィン状のパーツ、これらを抱えた状態で中央に合わせ目が出現するという構造です。加えて膝アーマー、脹脛部分にも合わせ目があり、関節部分にはほぼ肉抜き穴があるという試練の脚部です。
とりあえずあまり考えずに進められる肉抜き穴を埋めるという工程から行きます。脹脛の後ろ部分のフレームと足裏、膝関節ですが、画像漏れで足首関節にも盛大に肉抜き穴があるのでそこも処理します。
しかし色々考えた後に膝関節はカバーを被せる構造であまり目立たないので処理せずにそのままとする事にしました。
ポリパテを使用して隙間を埋めました。処理の為にヤスリ掛けを行っていますが、先に説明したKPS樹脂なので綺麗になりません。ここは塗装をしてみて様子を見る事にします。
先ほどの画像で漏れてしまった足首関節のパーツです。脛側との接続部分を除いてほぼ一周肉抜きされている状態で、ここは完成後も結構目立つ部分なのでしっかりと処理したいところです。ここのパーツはエアリアルの設定画を見ると丸いパーツですが、キットはD型で底面が平面になっています。丸を再現しようかとも思ったのですが、キットの面に合わせてD型のまま肉抜き穴を埋めました。
続いては爪先側のソール部分です。平面部分の前側の穴は0.5㎜プラ板を穴の形に切り出して蓋をする形で埋めました。後ろ側の穴は面を跨いだ状態で穴があるのでポリパテを使用しています。スリットになっている部分はタガネを使用して深く彫りこんで立体感を強調しています。
カカト側のパーツは底面ではなく側面に穴がある状態で、面から奥に折れ曲がる形で続く穴部分は上から白いパーツが付くので埋める必要はありませんが、ついでに埋めています。
脹脛の後ろ側に出る合わせ目です。赤い丸で囲んだ部分です。ここは後ハメ加工もそれほど難しくはないですが、それでもフレームを切断したり、ダボピンのカットなど処理する合わせ目の長さに対して加工が手間過ぎるので段落ちモールドで処理します。
段落ちモールドを施した画像です。もっと細い線でも良いかもしれませんが、元が合わせ目なのであえてモールドであるという事を主張する目的で0.5㎜という太いラインにしています。
そして問題の太腿の合わせ目です。当然前側にもあるのですが、前側は別のパーツが付くことで隠れてしまうので処理しなければならないのは裏側だけです。
ここは後ハメ加工が出来なくはないですが、やはり工程が非常に多く面倒です。
そもそも合わせ目は消さなければならないのか?という疑問さえ抱いてしまう部分ですが、気にならなければ消さずに無視するというのも全然アリだと思っています。実際よほど近くで見なければ完成後も気になりませんから。
とは言ってもやはり気になってしまうのが合わせ目というものです。合わせ目の処理として私が主に行う方法としては第一に後ハメ加工、その次に合わせ目の移動、妥協案で段落ちモールド化という具合ですが、それ以外の方法としては普通に組んで塗装時にマスキングするという方法があります。このマスキングというのは不確実で失敗時のリカバリーも大変なので皆それを嫌って手間のかかる後ハメ加工を選択するんですが、今回のこのパーツは後ハメ加工も非常に手間が掛かりますし、合わせ目を移動するにもかなりの加工が必要になります。
妥協案の段落ちモールド化に逃げます(笑)
とは言っても全面段落ちモールドでは芸が無いので、一番上の半円状のモールド部分にモデリングサポートグッズのマイナスモールドを半分にカットしたものを片側だけに接着し中央の合わせ目を隠し、その下側は0.5㎜の段落ちモールド、腿の中央は0.8㎜の角棒をパーツ両側に接着して段を設けました。更に一番下の部分は0.5㎜の段落ちモールドとして極力合わせ目だという事が分からない様にカモフラージュしたつもりです。
次は膝アーマーです。ここも中央に合わせ目が出る上にかなり目立つ所なのでここはしっかりと消します。
デザインナイフで何度も何度も切り込みを入れていく要領で丸いパーツをキレイに切断します。この状態でパーツを接着して合わせ目を消します。可動するかの様なデザインですがフレームに固定する構造なので別パーツ化してしまっても問題ありません。接続のダボピンも最初はカットする方向で考えていましたが、先にこの膝カバーのパーツをフレームに取り付けた後に膝関節のパーツを膝を曲げた状態で接続する事で無加工で行けます。
太腿のフレーム部分に差し込み、股関節軸に差し込む腿関節のパーツです。今回のエアリアルは腰部分で1㎜延長、上腕部分で1㎜短縮とプロポーションに若干手を入れていますが、この脚部は延長する予定でした。
本来の予定ではこの軸に1㎜程度のスペーサーを噛ましてカサ上げするつもりでした。しかし太腿部分の合わせ目を後ハメ加工しようかと色々パーツを弄っている時に気づいたのですが、この股関節軸のパーツを左右逆に取り付ける事で足の取り付け位置自体を上にずらせる事がわかりました。
この状態で組み付けるという事ですね。
可動のストッパーが本来の役目をしなくなってしまいますが、そこまで動かす事もなさそうなので問題ないかと。これで足自体の寸法は変わりませんが、胴体に対して本来よりも下側で接続する形になるので相対的に全高が上がる計算です。プロポーション的には脛部分で延長をしたかったのが本音ですが、何の手間もなく出来るこの方法で行きます。これで太腿に対するコブシの位置が更に変化出来ます。
全体の表面処理等を終えて仮組みした脚部です。モールドも元から結構ビッシリと入っているので、各モールドを丁寧に彫りなおしただけですが、完成後はスミ入れも映えて十分な情報量になるのではないでしょうか。
今回はここまでです。次回は武器類の制作です。
お楽しみに!
ライタープロフィール
- ファーストガンダムを幼少期にリアルタイムで視聴してきた世代のガンプラ好き趣味モデラー。
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